家族と楽しもう「天の川」!季節ごとの「天の川」の楽しみ方

 最初に「天の川」って何でしょう?


今回は季節ごとの「天の川」のさがし方を紹介します。



天の川・惑星三兄弟・ISS
(天の川 撮影:著者)

その前に、「天の川」って何でしょう?
明りの少ない所に行って夜空を見上げると、薄くぼんやりした長い雲のようなものが見えます。
これが天の川です。

昔・天の川はどこからも見えた



私が子どもの頃は、どこからも天の川を見ることができました。
この写真は2年前に撮りました。午前4時ごろに光の少ない畑から簡単なコンパクトカメラで撮った天の川です。
最近は街明りが多くなっているので、明りの少ない所に行かないと見ることができなくなりました。

注意事項)子どもだけで明かりの少ない場所には行かない事、大人と一緒に行って下さい


「天の川」について、もう少し詳しいお話し


たくさんの星の集まりである天の川銀河は円盤のような形です。

2022-8天の川04
(円盤のような天の川銀河 写真:著者制作のテレビ番組より)


地球のある太陽系の位置は、天の川銀河の中心である白い丸い場所から離れているので、太陽系の場所から銀河の中心方向を見ると、こんな感じに見えます。

2022-8天の川05
(太陽系から見た天の川銀河 写真:著者制作のテレビ番組より)


これが天の川の正体です。

私たちが肉眼で見える星は、どんなに環境の良い場所でも6等星まで、夜空全体で8000個くらいです。地球からの距離では数百光年くらいです。天の川の星は、それよりずっと遠いのです。

私が9年前に望遠鏡建設の為に赴任していた南米チリでは数十万光年も離れている銀河・大マゼランと小マゼランが雲のようにハッキリみえるのです。

大小マゼラン雲©ESO
(南米チリ・アタカマ砂漠のアルマ電波望遠鏡建設地 写真提供:ESO)


なぜ、そんなに遠い銀河が見えるかと言うと、1個1個の星はみえませんが、数百億個と言うたくさんの星の光がまとまって見えるから、雲のように見えるのです。天の川もそれと一緒なのです。      



季節ごとの「天の川」の見え方

夏は夜空が天の川の中心方向を向いているので太く見やすいのです。

夏の天の川
(夏の天の川 写真:著者制作のテレビ番組より)

冬の夜空は天の川の中心とは逆の方向を向くので、夏の天の川より星が少なくなります。

冬の天の川
(冬の天の川 写真:著者制作のテレビ番組より)


それでは春と秋の天の川の見え方はどうでしょうか?
日本の秋の天の川は北の空高く東西に流れています!その代わり春は地平線すれすれなので日本の春は天の川がほとんど見えません。

季節ごとの天の川の様子
(季節ごとの天の川の見え方 写真:著者制作のテレビ番組より)


その逆に南半球の南米チリなどでは日本の春には見えますが、日本の秋には北半球側にあるので南米チリでは見えません。



「天の川」のさがし方

皆さんに天の川をより分かって頂くために、ここで星の動きの話をします。

まず、日本から見た場合、夜空の星を北の空の星と中間位置の星と南の空の星と三つに分けます。

北の空の星とは北極星近くの星の事です。ここは季節に関係なく場所は変わるけど1年中見える星たち。

次に中間位置の星たちとは、季節によって東の空から昇ってきて西に沈んでいくことを繰り返しています。
多くの星は、ここに含まれます。
最後の南の空の星たちは、例えば南十字星などですが、日本の本州などからは見ることができません。

天の川も星ですから、同じです。北の天の川は薄いですがいつも見え、中間位置は東から昇り西に沈む。南の天の川は見えません。




天の川666
(天球儀を使っての星の見え方 写真:著者制作のテレビ番組より)


地球は24時間で自分で回っています。ですから毎日、春夏秋冬の星は地球に向かって、いつも通り輝いているのです。
季節の星とは、その季節の夜空方向にある星のことです。



夏の「天の川」のさがし方

夏の天の川のさがし方は、まず夏の大三角を探します。
夜8時ごろに東の空を見ると高い位置に、東の空で一番明るい星ベガがあります。次にベガの右下にアルタイルがあり、ベガの左下にデネブがあります。
この三つの星を線で結ぶと横長の三角形になります、これが夏の大三角です。

天の川01
(夏の大三角 写真:著者制作のテレビ番組より)



ベガは七夕のおりひめです、アルタイルは彦星です。
ですからおりひめと彦星の間に天の川が流れているのです。

天の川02
(夏の大三角と天の川 写真:著者制作のテレビ番組より)


またデネブは白鳥座ですので、天の川の中を泳いでいる白鳥ということです。    


天の川は夏の大三角のところから右の方が丁度・天の川の中心部分なので太い天の川で見やすい場所です。

但し、天の川はうすい光の帯なので、見る時は夜の暗さに目がなれるまで時間がかかるので注意して下さい。天文観測する人たちは家の中の光やスマホなどで目が明るい光に慣れてしまっているので、10分から30分程度は夜空を見てから観測します。


それから、七夕とは1年に一度だけ「オリヒメ(織姫)」と「ヒコボシ(彦星)」が天の川を渡って会うことができる7月7日のことです。



秋の「天の川」のさがし方

次は、秋の天の川です。
夏の天の川のさがし方と一緒で、夏の大三角を目印にさがします。


秋の天の川2©NAOJ
(秋の天の川 写真提供:NAOJ)


但し、午後8時ごろの夏の大三角の位置は、9月10月11月の順に東の空から南の空、そして西の空へと移動するので注意して下さい。



冬の「天の川」のさがし方

冬の天の川のさがし方は、夏の大三角は西の空に沈んでしまいますので、目印の星はオリオン座です。
夜8時ごろに東の空を見ると、オリオン座が出てきます。

オリオン座DSCF2832
(オリオン座 写真:著者撮影)


そのオリオン座の左側に天の川があります。

冬の天の川03
(オリオン座横の天の川 写真:著者制作のテレビ番組より)


冬の天の川は夏の天の川より、もっとうすいですから探すのが大変です。
このオリオン座も春になると西の空に沈んでしまします。
だから夏の大三角が出てくる夏まで、つまり春は天の川を見れないと言うことです。

と言う事で、「春は天の川が見えません」で一般的にはここで終わりです。

でも、春休みや五月連休に天の川を見たいと言う人もいると思います。
そんな人が天の川を見るのにはどうすれば良いかですが、



春の「天の川」のさがし方

どんなタイミングで春の天の川が見えるかと言うと、春の午後8時ごろは東の空に春の大三角が出てきています。

この午後8時ごろ西の空方向に見えるのが冬のオリオン座ですから、オリオン座の左側に天の川がありますので見て下さい。
但し、冬の天の川は超うすいです。

春の午後8時666
(春に冬の天の川を見る 写真:著者制作のテレビ番組より)


次に、午後8時ごろ東の空に出てきた春の大三角は時間とともに南の空に移動し、そして西の空に沈んで行きます。その春の大三角を追って6時間遅れで夏の大三角が出てきます。

なぜ6時間遅れかと言うと、1日の24時間を春夏秋冬の4季節で割ると1つの季節が6時間だからです。午後8時の6時間遅れですから、真夜中の午前2時ごろに東の空から出てきます。つまり真夜中から早朝まで夏の太い天の川を楽しむことが出来るのです。

春の午前2時666
(春に夏の天の川を見る 写真:著者制作のテレビ番組より)


夏の大三角の天の川ですが、夏の夜に見るより春の早朝に見る方が空気が澄んでいて、しかも街明りも少なく綺麗だと言って好んで春の早朝天の川を見たり撮影している人達もいます。


最後に

東京などの都会では、なかなか天の川を見ることはできません。
天の川を見たくて、山梨や長野などに行く人達も多いです。

ぜひ皆さんも、街中からは難しいかもしれませんが、天の川探しに挑戦してみて下さい。時間などを調整したり大気の状況によっては、意外とみえたりします。

私も家が商店街の近くなのであきらめていましたが、早朝時間に明りの少ない場所に行ったら見ることができました。
皆さんも、あきらめないで早朝などに見てみて下さい。

天の川は肉眼で見るのが一番です。
でも双眼鏡や望遠鏡を持っている人は、のぞいてみて下さい。また違った世界を感じると思います。
写真を撮るのも良いと思います。その場合、三脚を使って10秒とか20秒の長時間シャッターで切って下さい。

最後に私が南米赴任時に見ていた、ぶっとい南半球の天の川映像、1分半ほどですお楽しみ下さい!





次回の投稿もお楽しみに!

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