十五夜の団子とり
十五夜の団子とり ― あの家の団子はうまいじゃんね! 十五夜の晩、子どもたちの大冒険! 十五夜といえば、まんまるのお月さまを眺めながら、お団子やススキをお供えする風習があります。 でも、私が子どものころの十五夜には、もう一つ、とても楽しみな行事がありました。 それが、**「団子とり」**です。 十五夜の晩になると、子どもたちは長い棒を手に、近所の家々を回ります。 棒の先には針金を取り付け、家の縁側や軒先などにお供えしてあるお団子を、そっと引き寄せて取るのです。 もちろん、家の人たちもそれを知っています。 むしろ、子どもたちが来るのを楽しみに待っているようなところもありました。 家ごとに違う、団子とりの作戦! おもしろいのは、家によってお団子の置き場所が違うことです。 縁側など、子どもたちが取りやすい場所に置いてくれる家もあれば、居間の中に置いてあって、なかなか手が届かない家もありました。 そして、子どもたちにとって最も手ごわい相手がいました。 お酒を飲みながら、お団子のそばに寝転んでいるおじさんです。 これでは、なかなか近づけません。 子どもたちは、どうやって取ろうかと作戦を考えます。 家ごとに違う飾り場所、それぞれの作戦。 今思い出しても、なんとも愉快な光景です。 あの家の団子は、うまいじゃんね! 何軒もの家を回って集めたお団子は、子どもたちにとって大切な収穫でした。 そして、もう一つのお楽しみがありました。 それは、家ごとに違うお団子の味比べです。 みんなで食べながら、あれこれ感想を言い合います。 「どこんちの味がうまい?」 そんな話の中から、自然に飛び出す言葉がありました。 「あの家(え)の団子は、うまいじゃんね!」 この「あの家(え)」という言い方も、昔の地域の人たちが使っていた懐かしい言葉です。 今でも、この言葉を口にすると、あのころの仲間たちの笑い声が聞こえてくるような気がします。 大人も子どもも楽しんだ十五夜 この団子とりは、子どもたちだけの楽しみではありませんでした。 今、子どもたちを迎えている大人たちも、かつては同じように棒を持って近所を回った子どもたちだったのです。 大人も子どもも、そして、まんまるのお月さまも楽しんでいたような、地域ならではの十五夜の風習でした。 残念ながら、こうした光景は今では見られなくなりました。 時代とともに暮...