誇れ日本の技術力「宇宙船こうのとり」

 世界の宇宙ステーション補給機


国際宇宙ステーション(ISS)に荷物を運ぶ宇宙船を持っているのは、米・露と日本の3か国です。

しかも、日本の宇宙船「こうのとり」は今までにない国際宇宙ステーションとのドッキング方式を考えました。
それがランデブーキャプチャー方式です。
どんな方式かと言いますと、ISSに宇宙船が近づき接近し並走するのです。ロボットアームが届くところまで近づきロボットアームで捕まえると言うスタイル。

その後に開発された荷物を運ぶ宇宙船は全て、このランデブーキャプチャー方式となりました。スペースⅩ社のドラゴンとオービタル・サイエンシズ社のシグナスもランデブーキャプチャー方式です。
つまり、世界のスタンダードとなったのです。

ではそれぞれの荷物を運ぶ宇宙船である宇宙ステーション補給機を紹介します。
米は民間でスペースⅩ社のドラゴン

米スペースⅩ社ドラゴン補給機 写真提供:NASA


とノースロップ・グラマン・イノベーション・システムズ社のシグナス。

米オービタル・サイエンシズ社シグナス補給機 写真提供:NASA


露はロスコスモスのプログレス。

露プログレス補給機 写真提供:NASA


そして、日本の「こうのとり」、計4機です。

日本こうのとり補給機8号機 写真提供:JAXA/NASA


それぞれの補給機が運んでいく荷物の量は、ドラゴン・シグナス・プログレスは2~3トン、「こうのとり」は6トン。ですので、2トン運ぶ補給機の3倍ですから、「こうのとり」は9回の飛行でしたが、2トン補給機でしたら27回分を運んだことになります。
また、大型の試験装置などは「こうのとり」以外は運べない。以前は大型装置などはスペースシャトルが運べた、しかしスペースシャトル退役後は「こうのとり」以外運べなくなった。

日本こうのとり補給機3号機 写真提供:JAXA

私も現役時代、日本の補給機「こうのとり」にエンジニアとして初号機から3号機まで携わりました。ですので、今回の9号機で終わりと聞いて寂しい思いをしているところです。

でも、打ち上げ関係には携わっていません。特に2号機と3号機の打ち上げ時はアルマ電波望遠鏡建設で南米チリに赴任のための準備中だったり、3号機の打上げ成功の時には南米のアタカマ高地で、バンザーイをしていました。


「こうのとり」9号機、有終の美を飾る

昨年8月、日本の補給機「こうのとり」9号機は5月からの約3か月間のISS滞在を終え離脱、大気圏突入し南太平洋上空で燃え尽きた。

「こうのとり」は初号機が2009年9月、

日本こうのとり補給機初号機 写真提供:JAXA


2号機が2011年1月、3号機が2012年7月、4号機が2013年8月、5号機が2015年8月、6号機が2016年12月、7号機が2018年9月、8号機が2019年9月、そして9号機が2020年5月に打ち上げられた。
そして2020年の8月に地球の大気圏で燃え尽き、補給機「こうのとり」として最後の任務を終えた。

日本こうのとり補給機9号機 写真提供:JAXA


特に数年前は、米露の補給機が失敗を重ねる中、交換しなければならない部品類や実験関係の荷物や宇宙飛行士の食料が不足し困っているなかを、確実に予定通り荷物を届けた「こうのとり」は世界中から信頼を得ました。

たくさんの生鮮食品に驚く宇宙飛行士 写真提供:JAXA/NASA


更に、「こうのとり」は新鮮な生鮮食品を宇宙飛行士に数年運び続け、世界各国の宇宙飛行士から喜ばれている。
これは、「こうのとり」のみが実施した宅急便のようなシステム、1週間ほどま前まで小荷物を受け付けて急に発生した研究に必要なものを運んだりするため、それに合わせて野菜や果物なども送ったわけです。
ISSでの生活は、装置類などが多く無機質な感じのする白・黒・青などが多い。そんな中、野菜や果物などの色彩豊かなものは、世界各国の宇宙飛行士にとって味もさることながら、そのカラーを見たり地上の香りにふれるだけでも有難い贈り物となるわけです。

最後の「こうのとり」で届けられた生鮮食品たち! ~宇宙へ届け!地上の香り!~    JAXAチャンネル

世界の宇宙ステーション補給機の中で失敗をせず、11年間100%予定通り荷物を届けたのは、日本の「こうのとり」だけです。

こう言った信頼からか「こうのとり」に使用している、日本製の部品や装置類の評価も高くなり、例えば「こうのとり」で使用している通信機器・軌道変更用エンジン・バッテリーが他の国の補給機にも使用されるようになりました。
日本国内の宇宙産業の発展にも貢献することとなった「こうのとり」補給機は11年間100%成功でした。

そればかりではありません。スタートしたスペースⅩ社のクルードラゴン運用において初号機に野口聡一飛行士が、さらに2号機に星出彰彦飛行士の搭乗ができたのも、補給機「こうのとり」やISS内の日本の実験棟「きぼう」の綺麗で静かでしかも性能が良いと言う日本の技術力への強い信頼が影響していることは確かであると思います。勿論、日本人宇宙飛行士の能力も含めてのことです。

日本こうのとり補給機8号機の荷物を見て喜ぶ飛行士 写真提供:JAXA

昨年8月に燃え尽きたこうのとり9号機は有終の美を飾り、ポスト「こうのとり」補給機である新型宇宙ステーション補給機HTV-Ⅹに引き継いでいます。

それと同時に、今まで「こうのとり」初号機から9号機までを種子島から打ち上げ、予定軌道に投入してくれたH-ⅡBロケットも、「こうのとり」と一緒に退役しました。
ロケット・宇宙船ともに日本のために世界のために11年間頑張ってくれました、有難うございます。

H-ⅡBロケット9号機 写真提供:JAXA


「こうのとり」8号・9号では、後継機である新型宇宙ステーション補給機HTV-Ⅹの機能確認も実施しました。
現在、開発中の新型宇宙ステーション補給機HTV-Ⅹは、新型のH3ロケットを使用です。

日本H3ロケット 写真提供:JAXA

新型宇宙ステーション補給機HTV-ⅩはISSへの荷物輸送のみならず、月を周回する宇宙ステーションゲートウェイ建設での荷物や、さらに月面基地建設のための荷物輸送にも使われることを想定して開発中です。

新型宇宙ステーション補給機HTV-Ⅹ 写真提供:JAXA


最後にHTV-Ⅹは月周回宇宙ステーションゲートウェイを目指し、今までよりコストを削減し、輸送能力を向上させるように進めています。
世界から期待されている新型宇宙ステーション補給機HTV-Ⅹ、楽しみですね(*^-^*)!

月周回宇宙ステーションゲートウェイ 写真提供:NASA



それでは、次回の投稿もご期待下さい!

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