子どもに教える「冬の星空の主役シリウス」

 冬の星空の主役シリウス、しかも全天で最も明るい恒星

今、豪華絢爛な冬の星座が夜空に輝いている。オリオン座の左下に、凄くきれいで青白く輝くシリウスが見えました。思わず、カメラをシリウスに向け撮影した。

オリオン座と左下の明るい星シリウス 撮影:著者


撮って欲しいと言わんばかりに美しく輝いていた。
シリウスを撮影していた時に気が付いたのは、「シリウスの下に何か青い小さな星が見える。」と思った。何度も確認したが、確かに青白い小さな星だった。

シリウスの下に青白い小さな星を発見した 作成:著者


もしかしたら、シリウスBかもしれないと思いシャッターを切り続けた。

シリウスの下の青白い小さな星 撮影:著者


難しいかもしれないが動画での撮影にもチャレンジしてみた。
動画の撮影にも成功したので編集して動画作成した。



シリウスの下の小さな星、150年ほど前だったら世界の大ニュースとなった?

もし私の高祖父母の時代なら世紀の大発見となっただろう。

なぜかと言うと、19世紀にシリウスは蛇行していることが発見された。その原因は(その当時の望遠鏡では)見えない星があり影響し合っての事と言う仮説が出たが、当時としては見えない星など考えられない話であった。
夜空で見える星がシリウスAで影響している伴星がシリウスBと言う仮説。

その後、アメリカの天文台でシリウスBが発見された。

西はりま天文台の資料によると・・・・・・・・

シリウスには、その周りを公転する伴星が存在します。2つ以上の恒星がお互いのまわりを公転している天体を連星と呼びます。

明るい方が主星のシリウスAで、伴星の方はシリウスBと呼びます。普段夜空で輝いて見えるシリウスは、主星のシリウスAになります。

シリウスBの明るさはシリウスAの10000分の1と大変暗いため、シリウスBは望遠鏡を使わないと見ることはできません。さらに工夫が必要です。

まず、地球の空気の運動が静かなとき(星のまたたきが小さいとき)に観望します。空気の運動が激しいと、主星のシリウスAの光がぼやけて広がり、シリウスBを覆い隠してしまいます。さらに、シリウスBがシリウスAから離れたタイミングで観望することも重要です。

シリウスBは、シリウスAのまわりをどのように公転するか過去の観測から明らかになっています。下の図を見ると、現在シリウスBはシリウスAから離れており、2020年から2025年にかけて最も離れます。一方、2040年代の中ごろには2つの星は近づいてしまうので、シリウスAとシリウスBを分けて見ることが難しくなります。

したがって、2020年~2025年の間である、今こそシリウスBを観望できる好機となります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

と言うことで、シリウスAやシリウスBを観測したり撮影するのには今が一番いい時期なんです。

でも、今回私が撮影したシリウスの下の青白い小さな星はシリウスBではないかもしれません。
下の写真の通り超大型の「なゆた望遠鏡」で、このくらいにしか撮れないからです。私の撮った写真の方がはるかにハッキリ撮れている。

シリウスBの地球から見た公転軌道 資料提供:西はりま天文台
なゆた望遠鏡がとらえたシリウスB 写真提供:西はりま天文台

西はりま天文台の資料によると・・・・・・・・・・・・

現在、伴星のシリウスBは主星のシリウスAから離れた位置にいるので、シリウスBを観望できる好機となっています。

兵庫県立大学西はりま天文台では、なゆた望遠鏡によりシリウスBの姿を写真と動画で撮影することに成功しました。

シリウスBは、表面の温度が10000度を超える高温の星にもかかわらず暗いため、大きさは地球の2倍くらいしかないと考えられます。シリウスBの質量は太陽とほぼ同じなので、高密度な天体であると分かりました。シリウスBは、白色矮星と考えられています。白色矮星は、太陽質量の8倍未満の恒星が最後を迎えた天体になります。

シリウスBはかつて、シリウスAより重く明るい恒星であったため、シリウスAより早く進化してしまい現在の姿になったと考えられています(質量が大きな恒星ほどより短命)。

シリウスが夜きれいに見えるこの時期に、ぜひシリウスBの観望に挑戦してみましょう!

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では今回撮影したシリウスの下の青白い小さな星がシリウスBでないとしたら、何なんでしょうか?
単に、シリウスAの周りにあると言われている星の一つなのでしょうか。でも、私はシリウスBであると信じています。

今から2千年前、シリウスは赤く輝いていたそうです。現在の天文学者は、今のように青白いシリウスではなく、なぜ赤く輝いていたのかと言う謎を解明しようとしています。その仮説として、シリウスCがあるとして、シリウスCの発見を目指しています。
仮説とは、シリウスCはシリウスAとシリウスBを取り囲む大きな軌道にあり、2千年前にシリウスAに近づきシリウスCのガスなどを引き寄せ一時期赤く輝いたという説です。

今回、私が撮影したシリウスの下の青白い小さな星はシリウスCかもしれません。そしたら大変な発見となります。
でも、予想されているシリウスCの軌道は、こんなにシリウスAには近くないようです。もしシリウスAに近づいたなら赤く輝くはず。

今のシリウスは50年に一度の観測しやすい良い時期のようです。

是非皆さんも、夜空のシリウスやオリオンなどを見つめながら限りなく広がる宇宙の世界に浸ってみようではありませんか!

南の島で見上げる冬の星 写真提供:NAOJ石垣島天文台

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