心震える感動を味わい続けた私のエンジニア人生!part3 世界の宇宙開発のど真ん中に、飛び込む勇気を与えてくれた

世界と連携し、ワクワクしながら宇宙を目指したプロジェクト

宇宙工場での人工衛星づくりから離れ、自分たちの工場でつくった人工衛星を宇宙に打上げるプロジェクト。

写真提供:NASA

あたかも地球防衛軍にでもなったかの様に、海外の基地や国内の基地と細かい調整を行い、世界と連携し、ワクワクしながら宇宙を目指したプロジェクトの話。

まず最初にお断りしておきますが、国際プロジェクトと言うのは、宇宙を含め、どの分野も関係国との取り決めがあり詳細を語れない部分や、映像も使用許可がとれない場合もあります。

そんな所はオブラートに包んだような表現や、分かりやすくするために多少変えた表現になったり、使用許可の出ている同じ様な映像を使いますので、ご了承願います。

この仕事は、とにかく私が初めて経験した人工衛星打上げプロジェクト。地球全体を見つめ宇宙を目指した話。

写真提供:NASA



今までは従業員数千人と言う日本一の宇宙工場で、人工衛星をつくったり、あるいは夫々が性能通り動作するかを確認するための試験装置づくりをしたり点検・修理などを行っていた。つまりメーカー側の仕事しか経験がなかった。でも宇宙船や人工衛星づくりは、夢のある素敵な仕事だと誇りに思っているエンジニアであった。

写真:著者



その宇宙工場を飛び出し、自分たちの工場でつくった人工衛星を宇宙に運ぶプロジェクトで、ワクワクしながらメンバーに加わりました。

人工衛星追跡管制隊に所属し、打上げる人工衛星の不具合対応、それから国内と海外で人工衛星と交信を行う各基地の設備類の不具合対応も担当することになった。
このプロジェクトで初めてユーザーサイドにたっての仕事となり、宇宙に打上げる重要な任務をまかせられ、嬉しく思いました。


自分たちの工場でつくった人工衛星を宇宙に打上げるプロジェクトへの参加

ロケット打上げの数週間前から人工衛星打上げ本部で、打上げ準備に入りました。
入念な準備も終わり、私たちの宇宙工場でつくった人工衛星の打ち上げ当日となりました。

私は朝一番での会議で、人工衛星および人工衛星と交信を行う国内基地と海外基地の問題は無く、人工衛星打上げに問題ありません。と報告した。
その他、ロケット関係者らの報告が終わり、予定通りの時間に打上げられることが決定した。

正面の大型画面に打上げ用ロケットの映像が映り、ロケット打上げのカウントダウンが始まった。

ロケット打上げ担当者らの動きが激しくなってきた。

それぞれ自分の持ち場で待機し、重い雰囲気となった。

私も突発の不具合が発生しないか心配しながら、大型画面に目をやった。 

ロケットの打上げ時間となった。

ロケットの下から白い噴煙が広がり、大きなロケットが地響きのような爆音とともに地球重力を振り払うように宇宙を目指しリフトオフ!

写真提供:JAXA



管制室の大画面での大迫力の音と映像に感動。
管制室の皆さんの動きが益々活発となった。

打ち上げ後1分くらいで、大気圏内の空気抵抗が一番大きくなる「マックスQ」を無事通り抜け一安心。 

さらに固体ロケットブースターが燃焼終了し切り離される。そして、地上と宇宙の境目と言われている地上100kmの場所「カーマン・ライン」も越え、ロケット先端の人工衛星カバーであるフェアリングが、左右に分離し切り離され、ついに宇宙に出たとワクワクした。

続いて第一段ロケットが燃焼終了し切り離し、第二段ロケット燃焼開始、そして燃焼停止しへと進み人工衛星が分離される。
ここで人工衛星は軌道に投入されたので打ち上げ成功となった。続いて管制室内ではメンバーそれぞれがハイタッチやハグで喜び合う! 

ロケット関係者は、ここで終了となりますが、
人工衛星関係者は、ここからが大変であります。

まず、人工衛星は宇宙に出て、衛星として活動するための準備に入ります。 

一番目は人工衛星は宇宙に出ると回転してしまう。
それを防ぐ為に小型のジェット「スラスター」で回転を止める。

二番目は太陽電池パネルを開く。

三番目に太陽を探し、太陽電池パネルを太陽に向け充電に入る。
これで準備は終了。

管制室の皆さんは、同様に喜び合う!嬉しかった。

これから数ヶ月間かけて、人工衛星の全ての性能を細かく確認します。

それと同時に本部や国内の各地上基地、それから欧州・アフリカ・北米・南米などの海外基地のパラボラアンテナや人工衛星との交信設備類の不具合などあれば修理対応するのも、私の仕事でした。

つまり打上げた人工衛星の修理屋さんです。それから世界の設備類なども修理します。

人工衛星の性能確認に入ると私は毎朝7時に出社していました、仕事が始まるのは8時半ですので早朝勤務です。

写真提供:NASA



なぜかと言うと、夜勤の皆さんが不具合が発生するとレポートにして私の机の上に置いてくれているのです。

つまり1時間半の早朝出勤は夜勤の時の不具合処理時間です。
世界の皆さんと不具合について話し合い、必要であれば部品交換やプログラム変更などを伝えます。 

全ての不具合に対して、国内や世界のエンジニアと協力しあい、全て処理します。

そして、数ヶ月後に人工衛星を購入して下さった、お客さまに、宇宙の軌道上でおわたしする軌道上納品を行い、このプロジェクトは終了しました。

管制室内では各宇宙エンジニアがお別れの挨拶!

最後のハイタッチやハグで再開できることを楽しみにしていました。


世界の宇宙開発のど真ん中に、飛び込む勇気を与えてくれた


今回の国際プロジェクトは、今までと同じ宇宙エンジニアの仕事ではありますが、

実際に宇宙を飛行中の人工衛星の為に修理や対策などを繰り返し行っているうちに、

大昔から私たち人類のロマンである宇宙に触れることによって、本当に宇宙を実感できた、

その夜は嬉しくて嬉しくて眠れなかった事を覚えています。

今までの工場内での仕事とは、まったく違うリアル宇宙の世界を経験しました。 

写真:著者



そして宇宙を目指している日本や世界のエンジニアの中には、技術的にも人間的にも、凄い人達がたくさんいるのだと知らされました。

そんな事から、もっと世界に飛び出し、人類の為になるような技術を身につけ、人としても大きく成長したいと思う様になった。

今回のプロジェクトは、「宇宙新時代」と言われている世界の宇宙開発のど真ん中に、私に飛び込む勇気を与えてくれたのです。 


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