日本の月着陸機スリムが月面着陸成功!
日本の月面着陸機が世界で五番目に成功
日本の月着陸機スリムが1月20日の午前0時から月面に降りて行き約20分後に着陸!
着陸後の月着陸機スリムからの信号などで、日本で初めて月着陸に成功したと分かりました。世界ではソ連・アメリカ・中国・インドそして日本は世界で五番目となりました。
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ソラキュー(LEV-2)が撮影した月面着陸のスリム (資料提供:JAXA) |
ただ太陽電池パネルが上を向く予定が西を向いてしまいました。ですから西から太陽が出てくるまで、一旦回路を切断しました。
日本の月探査活動
日本の月探査活動について、おさらいしますと
月探査機「かぐや」が2007年の9月に打上げられ10月に月軌道に入りました。
「かぐや」は子衛星2個(おきな)と(おうな)を連れて、月面着陸はしないで、月の周りを回って探査しました。
この日本の月探査機「かぐや」プロジェクトは米NASAのアポロ計画以降、最大の月探査プロジェクトといわれています。
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月探査機かぐや (写真提供:JAXA) |
この月探査機「かぐや」には、私も関わっていまして
太陽電池パネルを担当していました。
月の磁気測定も計画していましたので、
太陽電池パネルも地磁気の発生しない場所を選んで製作し、保管場所にも大変に気を使っていました。
「かぐや」は大変順調に観測を続け、NHKと協力し多くの月映像を地球に届けました。
有名な映像は月から見た満地球の出の映像です。
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月探査機かぐやが撮影した満地球の出 (写真提供:JAXA) |
それから、月面には大きな溶岩空洞、富士山の風穴とか氷穴のもっと大規模なものも幾つか「かぐや」が発見しました。
この溶岩空洞は、将来の月面基地になるだろうと言われています。
それから「かぐや」の設計寿命は1年でしたが、頑張って1年8ヶ月観測を続け、最後は月面に衝突しました。
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月探査機かぐやが撮影した満地球の入り (写真提供:JAXA) |
今回、月着陸機スリムのピンポイント着陸に使用した
画像照合航法で、スリム内コンピュータに入っている基準となる
月映像は「かぐや」が撮影したものです。
日本の月着陸は二回失敗、スリムは三度目の正直
月探査機「かぐや」は大成功でしたが、
月着陸機は、今まで日本は二回失敗しています。
最初は2022年ですから一昨年の11月にNASAのSLSロケットでアルテミス計画の最初のミッションであるアルテミスⅠに相乗りしたJAXAのキューブサットの月着陸機「おもてなし」です。
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月着陸機OMOTENASHI (写真提供:JAXA) |
高さ10cmx横20cmx奥行き30cmで約10kg、両手に乗る大きさです。
通信できないために着陸を断念しました。
二つ目は、日本の宇宙ベンチャー企業アイスペースの月着陸機ハクトR-M1(ミッションワン)が昨年4月に月面着陸目指しました。成功すれば、民間としては世界で初めてと言うことでしたが、残念ながら月面に激突となりました。
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ハクトRミッション (写真提供:ispace) |
そして今回のJAXAのスリムが、三度目の正直と言う事です。
そして今回スリムの月面着陸によって、世界で五番目に成功した国となりました。
なぜ月面着陸は難しいのか?
満月 (写真撮影:著者) |
なぜ、そんなに月面着陸は難しいのか?
小惑星探査機「はやぶさ」や「はやぶさ2」は、どちらも往復で50億km以上・6年もの間を飛行して帰ってきました。
そして小惑星に着地して石などのサンプルを持ち帰っています。
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小惑星探査機「はやぶさ」 (写真提供:JAXA/池下章裕) |
小惑星に着地するのも難しいのですが、日本が2回成功し、その後にアメリカが1回成功だけです。
世界で3回だけです。
でも、小惑星は小さいので重力によって引っ張られないのと、大気もないので、ユックリと着陸することができます。
但し、正確な遠隔操作技術と自動着陸技術がないとできません。ですから、世界で日本とアメリカしか成功していないのです。
月が難しいのは、地球の1/6の重力があることです。
それから地球のように大気が無い事です。
大気があると、又それも空気抵抗で大変に熱くなり一千度を超えるので熱対策など難しいのですが、大気がブレーキとなってスピードは落ちるので最後はラッカサンを開けば目的地に着陸や着水できるのです。
ところが、月には大気が無いので、大気ブレーキの代わりとなるのがロケット
ロケットを進む方向に向けて、逆噴射して戻ろうとすることによってブレーキをかけ、高度15kmでの速度は秒速1.8kmを着地できる速度・秒速1.4mまでスピードを落すのです。
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ロケットで減速 (写真提供:JAXA) |
ここでロケットはフルパワーを使いますので結構な燃料を必要とするのです。ですから、燃料が重い分、着陸機本体を軽量化しなければならないのです。月着陸機スリムは軽自動車くらいのサイズです。
そう言った難問をクリアして世界で5番目に月面着陸成功したのです。
でも、この時点では、世界初のピンポイントでの月面着陸は成功かどうかは分かりませんでした。スリムからのデータなどを解析し後日報告すると言う事でした。
世界初のピンポイント着陸
着陸から5日後、1月25日のJAXAの記者会見で、日本の月着陸機スリムが目標値の百m以内の月面ピンポイント着陸に成功したと発表。
目標地の東55mの所に着陸しました。
これは世界初の快挙であります。
ここで質問ですので、皆さんも考えてみましょう!
上空50mまでは、ピンポイント性重視、つまり、より目標地点に近づけるように降下します。
その後は安全性重視の着陸を目指す、つまり目標地点から遠ざかるが岩などない場所へ降下します。
ですから
着陸精度を出す場合、どのポイントでの精度を使うと思いますか?
チョット難しそうなので、以下の三つから選んで下さい。
①安全性重視の手前時の状態
②安全性重視の状態
③最後の着陸した状態
さぁ~、シンキングタイムです。
勘ピュータをフル稼働して考えてみて下さい。
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スリムの着陸シーケンス (資料提供:JAXA) |
回答は①の安全面着陸に切り替える前の段階の着陸精度で表します。
今回の着陸精度は、10m以内で3~4mだとJAXAが発表しています。
今回のピンポイント着陸を子ども達向けに分かりやすく言うと
今までの月面着陸を成功させた4ヶ国は、降りやすい場所を選んで降りたのです。
それも、
例えば甲府駅の1番線ホームに降りると目標を決めた場合、石和駅とかに降りて成功したと言っていたのです。
今回の日本のスリムは甲府駅の1番線ホーム内に降りることができたのです。
しかも、着陸精度から行くと、目的車両まで目指す事のできる着陸となりました。
山梨県外の方も私のブログを読んで下さっているので。
全国区の例えでいくと、
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東京駅の①番線 (写真提供:Google) |
東京駅の1番ホームを目的地とすると、今までは四ツ谷とか新宿駅に降りていた、スリムの場合は1番ホーム内に着陸、
精度的には希望車両へも着陸も可能、驚くレベルに人類技術を進歩させたことになります。
月着陸機スリムにはピンポイント着陸以外に、まだ大きな目標がある
今回の日本の月着陸機スリムの凄いところは、
月着陸機スリムには、二つの大きな目標があります。
一つは、ピンポイントでの月面着陸を成功させること。
二つ目は、月起源に迫る月探査。
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観測予定の岩に犬の種類名 (写真提供:JAXA) |
月起源探査にとって月のクレータ近くには溶岩などが
沢山あり、科学的にも面白い発見ができそうな場所であるからです。
「降りやすい場所に降りる」から「降りたい場所に降りる」時代へ
今までの月着陸では「降りやすい場所に降りる」つまり安全な場所を選んでいました。
スリムは「降りたい場所に降りる」時代へと変えたのです。
今までは、今回スリムが目指したような所は無理と言っていた。
スリム成功の意義は、そんな扉を開けたこと。
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日本の月着陸機スリム (写真提供:JAXA) |
スポーツで新記録を出すと続けざまに記録が出るのと同様に危険な場所を物ともせず多くのチャレンジャーが出てくるのではと
月着陸機スリムの開発責任者である坂井真一郎プロジェクトマネ-ジャーが記者会見で語っていました。
さらに坂井プロマネは同じ記者会見で
「ピンポイント着陸は百点満点」と話しました(^^♪!大変な難題を成功させ世界初となったのですから当然でしょう!
これで、今現在、月面を目指している多くの国々が、
月面着陸はピンポイント着陸に切り替えてくることでしょう。
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