夢を電波に乗せて

 

夢を電波に乗せて ~あの日の少年は、今もここにいる~

幼いころ、夜の静かな部屋でラジオに耳を傾けていた。

窓辺に置かれたラジオの小さな光。ダイヤルを回すと、ざわざわとしたノイズの向こうから、遠い国の短波放送が聞こえてくる。

聞き慣れない言葉、知らない国の名前、遠い街の人々の声。

ラジオから流れてくる音に耳を澄ませながら、まだ見たことのない世界を想像していた。

電波は不思議だった。

目には見えないのに、遠い国から声や音を運んでくる。いったい、どうやって海を越え、国境を越えて届くのだろう。

そんな小さな疑問と好奇心が、いつしか大きな夢へと変わっていった。


やがて、ただ受信するだけではなく、自分から電波を送りたいと思うようになった。

アマチュア無線の免許を取得し、いよいよ自分の声を電波に乗せる日がやってきた。

最初に手にした無線機は小さなものだったので、交信相手はほとんど国内の局が中心だった。海外との交信も、フィリピン、朝鮮半島、ロシア、中国といった近隣の地域が主だった。

ところが、ある日曜日、思いもよらない出来事が起きた。

いつものように無線機のダイヤルを回していると、突然、世界中のアマチュア無線局と交信できるようになったのだ。


アメリカ、カナダ、南米の国々、そしてヨーロッパ各国。次々と遠い国の仲間たちの声が聞こえてくる。まるで世界中の扉が一斉に開いたようだった。

後になって知ったのだが、そのころは太陽活動が活発で、太陽から吹き出す太陽風などの影響によって、地球を取り巻く電離圏の状態が大きく変化していた。短波の電波が遠くまで届きやすい条件が整っていたようなのだ。

同じころ、北極地方では驚くほど美しいオーロラが出現し、オーロラファンたちも大喜びだったという。

遠い宇宙で起きている太陽の活動が、地球の空に変化をもたらし、無線の電波の届き方まで変えてしまう。

その不思議なつながりを知り、宇宙が急に身近な存在になった気がした。

そして、電波は地球上だけでなく、宇宙にも飛んでいく。

そのことを知ったとき、少年の夢はさらに大きく広がった。


宇宙船との通信、人工衛星、惑星探査機、そして電波望遠鏡。

振り返ってみると、子どものころに夢中になったラジオ受信から、エンジニアとして携わってきたさまざまな仕事まで、すべてが「電波」という一本の糸でつながっていた。

一つひとつの仕事を通して、夢は少しずつ広い宇宙へと伸びていったのだと思う。

今でも、夜空を見上げると考えることがある。

銀河の彼方には、まだ私たちが知らない世界があるのだろうか。いつか、遠い星から何かの信号が届くことはあるのだろうか。

そんなことを想像するだけで、心が弾む。

年齢を重ねても、宇宙への好奇心は変わらない。

あの日、ラジオの小さな光に寄り添っていた少年は、今も心の中にいる。

今回の新曲「夢を電波に乗せて」

今回の楽曲は、そんな少年時代の思い出と、宇宙への夢を一曲にしたものです。

音楽は、懐かしさと温かさを感じさせるノスタルジック・シネマティック・ポップを基調に、オーケストラの壮大な響きを加えました。

静かな夜のラジオから始まり、世界へ、そして宇宙へと広がっていく夢。最後は「あの日の少年は、今もここにいる」という言葉で締めくくります。

遠い昔の思い出を懐かしみながら、未来への夢も感じていただけたら嬉しいです。

どうぞ、音楽とともに宇宙への旅をお楽しみください。



コメント

  1. 「あの日の少年は今もここにいる」この言葉を聞いたとき、少年時代から今に至るまで同じ心を持ち続けてきた宮川先生の姿には心から感動しました。流れる音楽も言葉と同調するかの如くに聞いているだけで和み心に響き感動で胸一杯になり何だか自然に熱くなり涙も出そうになりました。少年時代の静かにラジオを聴く姿、そのラジオに入ってくる聞き慣れない言葉や笑い声に世界を感じ始め、知らない世界を日々想像する・・何という豊かな感性でしょうか!そして今度は自ら電波を発信してみようとアマチュア無線に挑戦していく好奇心旺盛な積極さ、そしていつのまにか遠い世界中からも電波による交信ができるようになった。「世界中の扉が一斉に開いたようだ」という先生の言葉には驚きと感動したときの大きな喜びの姿を想像してしまいます。さらには地球上だけではなく宇宙にまで届いていくという感覚、逆に銀河の彼方のわたしたちの知らない世界から電波が届いてくるのではないかという大きな期待。本当に素晴らしいです。弱い電波を送り続けた、すべてが電波という一本の糸で繋がっていった、糸が宇宙へと伸びていった・・このような言葉全てに感動しました。いつもいつもありがとうございました。

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    1. こんばんは!心に響く、温かく丁寧なコメントをいただき、本当にありがとうございます。
      「あの日の少年は今もここにいる」という最後の言葉に、私の歩んできた人生を重ねて受け止めていただけたこと、とても嬉しく思います。
      幼いころ、ラジオから聞こえてくる遠い国の声に胸を躍らせ、知らない世界を想像していた少年が、やがて自ら電波を発信し、世界中の仲間とつながる。そして、その電波が宇宙にも広がっていくことを知り、さらに大きな夢を抱くようになりました。
      振り返れば、あの小さなラジオとの出会いが、私の人生の原点だったのかもしれません。
      今回の歌では、そんな長い年月を「電波という一本の糸」で結んでみました。その言葉の一つひとつにまで心を寄せていただき、作り手としてこれほど嬉しいことはありません。
      何より、音楽と言葉から温かさや感動を感じていただけたことが、次の作品を創る大きな励みになります。
      年齢を重ねても、宇宙への好奇心と夢を追いかける心は、いつまでも持ち続けていたいと思っています。

      こちらこそ、いつも深く受け止めてくださり、本当にありがとうございます。

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